黒いレースのグローブで どうぞ私の頬を撫でて下さいませ
紫苑に引かれた艶めくルージュで 私の唇を盗んで下されば
私は貴女に跪き レースの上から手の甲へ
誓いと服従のキスを捧げませう
薔薇色に染まったドレスで どうぞ私の心を抱いて下さいませ
淑やかに蜜の滴る指先で 私の躰を撫でて下されば
私は貴女の望むまま 光の落ちたゆりかごで
一夜を共に致しませう
貴女が私を愛でて下さるのであれば
荊の鳥かごで生きるなど容易いこと
月夜に酔っては狂い咲く禁断の薔薇
幽かな燈りに灯された甘美なる遊戯
其の何れもが貴女の求むものならば
戒めに飾られた運命でさえ 歩いていきませう
此の身果て 心壊れるまで 共に歩いていきませう
壊れた後には 糸となり
心 結い合わせ
貴女を纏う絹になりませう
ですから今宵は
どうぞ、私で戯れ事をお楽しみになってくださいまし